シンガポールでの転職・就職を検討する際、多くの方が気になるのが「実際の給与水準」ではないでしょうか。求人票に記載された数字が、市場全体のなかでどの位置にあるのかを把握するのは容易ではありません。
本記事では、2026年2月末時点で複数求人サイトに掲載された日本人・日本語スピーカー向け求人のうち、月給表記のある84件を独自集計し、給与水準・職種構成・上位帯と下位帯の違いについて、データに基づき客観的に解説します。
※本分析は公開求人情報をもとに独自集計したものであり、実際の内定条件や最終提示給与を保証するものではありません。
月給求人の給与水準|中央値と上位帯・下位帯
2026年2月末に掲載されていた月給表記のある求人は84件でした。算出された代表的な数値は以下の通りです。
- 月給中央値:S$6,000
- 平均値:S$7,082
- 上位25%ライン:S$9,000
- 上位10%ライン:S$12,000
中央値S$6,000は1月松集計と同水準であり、日系・日本語対応求人における「標準的な月給水準」がこのレンジに安定していることを示しています。
平均値がS$7,082と中央値を上回っているのは、S$9,000を超える高給与ポジションの存在により上方向へ引き上げられているためです。
分布を見ると、S$4,000〜S$6,000のゾーンに最も多くの求人が集中しており、ここが最多価格帯といえます。一方、S$9,000を超える求人は件数が絞られ、上位10%帯は主にIT・法律・金融・コンサル系の専門職に集中しています。
現在募集されている主なポジションと給与レンジ
2月に掲載されていた代表的なポジションと想定給与上限は以下の通りです。
- 外資系 ファンドオペレーション:〜S$22,000
- 法律事務所 弁護士 / Lawyer:〜S$15,000
- 税務マネージャー(アドバイザリー&コンプライアンス):〜S$14,000
- 日系IT IT開発・保守マネージャー / アシスタントマネージャー:〜S$14,000
- 日系コンサル プロジェクトマネージャー:〜S$14,000
- 日系海運 リージョナル営業マネージャー:〜S$13,000
- 日系IT ITシニアコンサルタント:〜S$12,500
- 日系金融 コンサルタント / シニアコンサルタント:〜S$12,000
- 日系IT ICTセキュリティ戦略・企画スペシャリスト:〜S$11,500
- 日系IT ITインフラエンジニア・システムアドミン:〜S$7,000
- 日系物流 役員秘書 / Executive Assistant:〜S$7,000
- 日系商社 人事総務:〜S$5,500
- 日系製造 営業事務 / Sales Support:〜S$5,000
- 日系食品 アドミン・営業サポート:〜S$4,000
高給帯はIT・法律・金融・コンサル系の専門職およびマネジメント層に集中しています。一方で、バックオフィス系・アドミン・営業事務は中央値付近に分布しており、役割と責任範囲が給与水準に直結している構造が確認できます。
職種別に見る月給求人の分布
月給表記のある84件を職種別に分類すると、以下のような構成となりました。
- Others:24件
- Sales:16件
- IT:16件
- HR / Admin:10件
- Finance / Accounting:10件
- Logistics:3件
- Healthcare:3件
- Legal:2件
SalesとITがそれぞれ16件で最多となり、日本語人材への需要が特に高い分野であることが読み取れます。IT領域ではICTセキュリティ関連ポジションが複数掲載されており、セキュリティ人材需要の高まりが顕著です。
HR / AdminおよびFinance / Accountingも安定した件数を維持しており、管理部門における継続的な採用ニーズがうかがえます。
データから読み取れる傾向と転職戦略への示唆
- 月給中央値はS$6,000で1月から変化なし
- 平均値が中央値を上回るのは高給ポジションの影響
- 上位10%(S$12,000以上)は専門職・マネジメント層に集中
- SalesとITが求人数トップ
- ICTセキュリティ分野の需要が増加傾向
シンガポール転職では、高給帯のみを目指すのではなく、自身がどのレンジで市場評価されやすいかを客観的に把握することが重要です。
特にITセキュリティ領域は今後も需要拡大が見込まれ、関連スキルや資格(ISMS・ISO27001など)を有する人材は上位帯に入りやすい傾向があります。
また、英文レジュメの構成や職歴の見せ方によって提示レンジが変わるケースもあります。以下の記事もあわせてご参照ください。
- 2026年シンガポール人事・雇用トレンド総まとめ
- シンガポール転職の給与相場と求人動向|1月版
- 離職理由は弱点ではない|英文レジュメの書き方
- キャリアチェンジは不利ではない
- 採用担当者に会ってみたいと思わせる英文レジュメ
- 英文レジュメ「職歴」の正しい書き方
まとめ
2026年2月のシンガポール求人市場では、給与構造(中央値S$6,000・上位10%S$12,000以上)は安定している一方で、SalesとITの求人数が突出し、特にICTセキュリティ人材への需要増加が確認されました。
中央値を理解し、上位帯の条件を把握することは、現実的かつ戦略的な転職活動を進める上で有効な判断材料となります。
本シリーズでは、今後も月次で給与動向を定点観測していきます。
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