終身雇用制度 (その1)
以前面接させて頂いた30代の華人系男性。エンジニアの方で当時日系大手製造メーカーに勤務されていました。勤続年数が10数年に及んでいたので今でもよく覚えています。もっとも記憶に残るほど印象深かったのは、彼の転職希望に至った動機でした。
「私は学生時代、今の会社の創業者の方が著した数々の著作にふれ、その経営哲学や思想に共鳴というか憧れる形で現在の会社を志望し入社しました。社員は家族という考え方や、終身雇用制、首切りがない、というのも魅力的で、真面目にやっていれば、定年まで安定して働けるものと思っていました。ところがどうでしょうか。本社では終身雇用制度はとっくになくなり、私が今勤めている会社では、最近隣の部署が、部門ごと中国に移転となったため、その部門で働いていた同僚が全員解雇されました。終身雇用の会社ということで今日まで頑張ってやって来ましたが、業務縮小や部門の閉鎖や移転。。。ホントウに明日は我が身という思いです。。。」
その方は、日系企業は解雇がないと聞いていたが、同僚が次々と解雇されるのを目の当たりにして不安でしょうがないといった感じでした。それで、会社から言われる前に自分でもっと安定した会社や職場を探した方が良いという判断で転職活動をしていました。
もうひとつの話。こちらの方は上の話と全く別の話です。
最近と言っても2ヶ月くらい前にお会いした候補者さんの話です。一次面接が終ったとき、その企業さんの担当者の方はその候補者さんをとても気に入って下さいました。もし採用となった場合、その担当者の方がその候補者さんの直属の上司になります。業務内容も知っていて即戦力に成り得る。また性格も明るくて良い。とのご評価で、私も期待しておりました。候補者さんの方も乗り気で、オファーがあれば是非お受けしたい。あの方の下だったら思いっきりやれる。と、とても張り切っていました。
ところが二次面接で、残念ながら不採用になったのです。そのご担当者曰く、「仕事の能力もあるし、自分としては採用したい気持ちは山々なのですが、人事の方の評価が今ひとつ良くないのです。」と。どの点に関して懸念されているのでしょうか、と私が聞くと、「いやー、実は彼(候補者さん)の職歴が、転職の回数があまりにも多すぎるのです。その辺のところを人事から指摘されまして、もし採用しても長く当社にいてはくれないのではないかと人事が思っているもので。。。」
一般的に、日系企業は転職回数の多い人材を好みません。ではなぜ、(これも一般的にですが、)シンガポール人は転職するのでしょうか? これはいつ考えても難しい命題ですが、ひとつの、それも簡単な理由は、それはそのような人材でも「採用する企業がある」からです。採用とは。。。
<この続きは次回に>