『勤務地シンガポール』

シンガポールで23年働き・起業した日本人が伝える現地就職・生活のリアル情報

自称社員


 日々多くの方々とお会いしておりますが、時が経っても忘れられない強烈な印象を残して行ってくれた人たちも中におります。デービットもその一人です。

 アート系の人材で作品も素晴らしいものがありましたが、でも、私には会った瞬間に、この人少し変、と感じましたね、今思うと。私の方を見て話をしているのですが、焦点距離が全く合っていない。視線は私を突き抜けてはるかかなたに行ってしまっているのです(笑)。

 その後面接が無事終了して、今日はどうもご足労頂いて有難うございました、の段になって、デービットはこう聞いてきました。「で、いつから出勤ですか?」

 私は、“随分と積極的でやる気を見せてるな”と感心しましたが、まだエージェント面接の段階で、企業との面接もまだだし、それに、採用と決まったわけではないので、「デービットさん、これからあなたのことを企業さんへ提案するので、その結果が出るまで少し時間がかかります。何か進捗がありましたら連絡しますよ。」と伝えドアまで送りました。

 デービットは何かつぶやきながら私の前を歩いていましたが、ドアのところで一瞬立ち止まり、振り返って再びこう訊ねました。「いつから出勤ですか?」

 私は、こりゃあちょっとおかしいなあとは思いながらも、「ええ、また連絡しますから~」と務めてにこやかに笑いながら彼を送り出しました。彼もそれに答えるかのように一言、「あなたはいい人だ(ニヤッ)。」


 いや~、そのときは、なんにも考えなかったですねー。全く予想だにしませんでしたよー、このデービットのこと。まさか本当に「出勤」してくるとは(笑)。

 次の日、デービットは「出勤」して来ました。 どこへ?
 はい、我が社へ(泣)。