その人、最近来てくれたTさんは、面接のはじめからにらんでいました。こちらをじっと見つめる目が、私が思わず身震いするくらい据わっていています。
さて、どうしたものか。と思いながら面接はスタートしたものの、なかなか話がかみ合いません。会話と同様にかみ合わないものがもうひとつありました。それはTさんのレジュメです。前職をやめてから丁度一年経っていて、その間仕事はしていないようです。そのためか、今回の希望給料額は、前職退社時のそれと比べてかなり低くなっています。ところがスキルや経験はとてもすばらしいものを持っています。Tさんが希望しているお給料はマーケットからみるとほぼ半分くらいです。なぜ?
「低い額を希望しているのには理由があります。1年のブランクがあるし、仕事内容が簡単であれば前のお給料額と同等額を希望するわけには行きません。そして、今はとにかく仕事が欲しいのです。それもできるだけ早く。若い人たちとの競争になると思いまして、あえて希望額を低くしてあります。」と、歯切れの良い話し方でそう言い切って、Tさんは再び私の方を見据えるのです(笑)。それにつられて私もじっとTさんのことを見据えて、しばらく時間が過ぎました(苦笑)。
そんな膠着した状態が破られたのは、話が家族のことに及んだときです。なんとTさんの目にみるみる涙が浮かんできたではありませんか。Tさんが話すままに耳を傾けてみてまたびっくり。この一年、一言では言い表せない大変な思いをされてきたようです。そしてそれもようやく片付いたのはつかの間、昨日は身内に不幸があり一睡もしていないことが分かりました。道理で。私はてっきり「どうしてこの人はにらんでいるんだろう。」と思ってしまいましたが、本人としては昨夜からの不眠と疲労でこちらを見る目が自然と「にらんでいる」ようになってしまったようです(笑)。
それから約1時間くらい、Tさんの身の上話をお聞きしました。夕方近くになって、「あら、こんなに長い間お邪魔して済みません。」とTさんがご自分の腕時計を見たときには、顔全体にかなり笑顔が戻ってきていました。私も一安心、ホッとしました(笑)。
うちにはいろいろな方々が見えられます。ほとんどは華人系シンガポール人の方々ですが、彼らを通して見えてくるシンガポールはまた違ったものがあります。例えば、このTさんが始めて就職したときは、シンガポールはまだ東南アジアの新興国のひとつでした。初任給は日本円で約3万円。当時の為替相場はわかりませんが、勤勉さと安い労働力を求めて多くの日系製造業がシンガポールに進出したころの話です。それが今では大卒の初任給は、ポジションによっては日本のそれよりも高いというケースもたくさんあります。
Tさん、就職活動応援しています。がんばりましょう!(笑)
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