『勤務地シンガポール』

シンガポールで23年働き・起業した日本人が伝える現地就職・生活のリアル情報

自称社員2


 <ご要望を頂いたので、昨日の記事に続きます。>

 その日はどんよりとした曇り空で、時々雨が降っていました。ランチアポがあったので、お昼ごろ傘を持って出かけました。

 待ち合わせの場所に到着寸前で携帯にメッセージが入った音が聞こえました。多分少し遅れるのだろう、とその日会う事になっていた知り合いの顔を頭に思い浮かべながら携帯をポケットから取り出し、そのメッセージを見てみると、

 「済みません。今日は少し遅れます。 デービットより。」

 知り合いは日本人です。デービットだなんて欧米系の名前ではありません。

 「はあ?」“デービットって、誰だっけ?”私はそのとき一昨日うちに面接に来てくれた候補者のデービッドのことを直ぐに思い出すことはできませんでした。なぜって?それは彼とはアポなんか無かったからです。

 「確かに昨日のデービットだが、たぶんこのメッセージは送り先を間違ったんだろう。」その後直ぐに知り合いも到着したこともあり、デービットには返信せずに私はランチを楽しみました。

 その後2時頃にオフィスに戻り、無我の境地で仕掛りの仕事に集中していると、オフィスのドアが静かーに開く音がしたように思えました。そうなんです、そのときは私一人しかオフィスにおらず、また私の席からドアは見えません。普段は「すみませーん」とか聞こえるのですが、そのときは、ほんの一瞬かすかな音というか気配を感じただけで、その後直ぐに、またいつもの静粛、と言いますか、いつもの通りラジオから流れるクラッシック音楽が聞こえます。

 それからどれくらい経ったでしょうか。さあーて、一休みするかと、新しい紅茶を作りにマグカップを抱えて立ち上がり、部屋をでたその瞬間!私は、マグカップを落とすというよりも心臓が止まりそうでした。見知らぬ誰かが机に座っていたのです!!パソコンを立ち上げ仕事をしています!!(そっ、そんなはずはない、この机は誰も使っていないのだ。俺も仕事のし過ぎでとうとう真昼間に亡霊を見るまでになったか。。。)と思うよりも早く、「それ」は顔をこちらに向けました。口元にほのかな笑いが浮かんでいます。

 「デっ、デービットォ!!、デービットぢゃないか!! こんなところで一体何をしているんだ!」

 今思い出すと少々可愛そうな気がします。家内に話をしたら、「座っているだけだったらいいんじゃないの?」と、あたかも私があの日デービットをきつく叱り、追い出したかのように言います。私もちょっとした自責の念を感じますが、じゃあ、どーせーっつーの?ってこっちも泣きたくなります。

 あの日、本人からの聞き取りによると、デービットは約1時間くらいうちのオフィスに座っていたそうです。気配を完全に消し去って。

 実は次の日もデービットからメッセージがありました。

 「今日午後、お客さんを連れて行くからいいか?」と。

 で、「申し訳ない。今日は他のアポで忙しいからダメだ。」と返したら一言、

 「俺も忙しい。」と返ってきて、その後メッセージが来ることはありませんでした。

 レジュメ中、デービットは現在働いていることになっていましたが、どうもそのように思えませんでした。と、すると、レジュメに書いてある複数の会社も社員ではなかったのではと、疑ってしまったりします。もしかしたら、うちの「セールスブリッジ」というのも既に、彼の履歴になってしまっている可能性があります。

 今思い出したデービットの迷言があります(笑)。
 「デービット、結婚してるの?」
 「はい、結婚しています。」
 「じゃあ、お子さんはいるの?」
 「3 days!」

 「お子さんはおりますか?」と聞いてこちらが期待する答えは、いるか、いないかの2つにひとつですが、「3日!」と答えた人はデービットが始めてです。てっきり、お子さんが生まれて3日目だ、ということだと思って、「それはおめでとう!」と手を差し伸べると、今度はデービットの方が、なぜ握手するのか分からないといった感じでした(笑)。それを思うと、お子さんはいず、また結婚も、していないのかも知れません。

 とても不思議な方でしたが、「類は友を呼ぶ」の言葉の通り、私にも何か彼をひきつける「波動」みたいなものがあるのかも知れません(笑)。