『勤務地シンガポール』

シンガポールで23年働き・起業した日本人が伝える現地就職・生活のリアル情報

“Can do”と“ Will do”


 「ん~ん、もうちょっとだったのになぁ。こちらが求めている経験が無いというのはレジュメを見て分っていたんで、後はご本人の“やる気”と言うか、どうしてもこの会社に入りたい、どうしてもこの仕事をやりたい、という思いだけを確認したかったんですが、残念ながらそれが感じられなかったんです。」

 以前営業人材の人選をやらせて頂いたある採用案件での話です。冒頭は最終の二次面接後の結果を伝えに、電話をかけてきて下さった企業の採用のご担当者からの不採用のご連絡です。

 そのときの候補者、Kさんはとても真面目な方で、企業とポジションそれに仕事内容などを気に入られて応募、そして一次面接のお引き合いと話がとんとん拍子に進みました。企業さんもKさんの人柄をとても気に入られて、「ま、こちらが期待している○○の経験は持ち合わせていらっしゃらないですが、それは入社後に勉強してもらうということにして、是非Kさんを採用の方向で検討させて頂きます。」と、そして、程なく上記の二次面接のアレンジとなったわけです。

 ところが二次面接のお引き合いがあった旨連絡した時のKさんは、何かとても心配されている様子でした。

 「一次面接に通ったというのは正直嬉しいです。有名な企業さんですし、仕事内容にも興味があります。ただ、、、私には先方が期待されている○○の経験がないのです。。。」とKさんは浮かぬ顔です。

 「Kさん、それは心配要りません。企業さんもそのことは承知されています。入社後に実践で身につけてもらうということで問題ないと仰ってくれていますので、もしKさんにとってこの案件が本当に良い案件であれば、是非チャレンジしてみて下さい。」と私。

 Kさんは、分かりましたと元気な声で返してくれて二次面接に伺うことになった次第です。

 ところが現地法人の社長さんも交えた最終面接でのKさんの自己プレゼンは、“私はこれまで××の仕事をして参りまして、△△のことでしたら誰からも負けない自信があります。ですが、御社の期待されている○○については経験がありません。こんな私でも宜しいのでしょうか?”と、こんな感じだったようです。「それがうちの社長には、“営業マンとしては受身的で後ろ向きだ”と映ったようです。。。」と前出のご担当者、そして冒頭のお断りという結果になってしまった次第です。

 Kさんのような二次面接における自己プレゼンでも、まったく別の違った捉え方をされる経営者の方もいらっしゃるかと思います。ですので、一概に間違いだとか正しいだとかという観点から語られる問題ではないのですが、今思えば、Kさんには“Can do”はあったのですが、“Will do”が無かったと思います。

 “I can do”、出来るか出来ないか。これも大切ですが、一方でもっと大切なのは“I will do”、「やります!」という意思表示ではないかと思います。確かに人は経験がないことには物怖じしますが、一方でたとえ経験があってもやらなかったり、やる気がない人も沢山います。なのでチャンスがめぐって来たら“I will do”です。“チャンスには前髪しかない”とよく言われますね。通り過ぎる前につかまないと、通り過ぎてしまった後では後ろ髪がないのでつかめないという例えです。また別のある本によりますと、世の中の多くの人たちは、経験がないこと、準備がまだ整っていないことを理由に、折角訪れたチャンスを自ら逃してしまっているそうです。チャンスとは準備が出来ていないときにやって来て、困難は準備が出来ているからやってくる、とよく言われています。

 私もこれまで多くのチャンスを逃して来たかも知れませんが(笑)、人の振り見て我が振り直せ、ですね。この事を思い出させてくれたKさんに感謝です(笑)。